01

盤面の枚数を減らしても、有利になるとは限らない

除去という言葉から最初に連想するのは、相手ユニットの破壊だと思います。相手の盤面にユニットがいて、それを自分のカード1枚で破壊する。お互いにカードを1枚ずつ失ったなら、見た目では1対1交換です。

しかし、本当に交換された価値も1対1だったのでしょうか。相手が破壊時に手札を増やした場合、失ったユニットの代わりに別のカードを得ています。トークンが残る場合も、相手の盤面が完全に空になったわけではありません。トラッシュの枚数を参照するデッキでは、破壊したことで相手の条件を整えてしまう場合もあります。

そのため、盤面処理を考えるときは『相手ユニットを消せるか』だけでは足りません。重要なのは、このカードを処理したあと、相手にどれだけの価値が残るのかという点です。

02

盤面処理で比べたい二つの価値

盤面にいる相手ユニットを処理するか迷ったとき、私は二つの価値を比べるようになりました。一つ目は、そのカードを残した場合に発生する価値です。能力をあと何回使うのか。攻撃によってどれだけ損失を与えるのか。別のカードの条件や材料として使われるのかを見ます。

二つ目は、そのカードを処理したあとに相手へ残る価値です。手札が増えるのか。トークンが残るのか。トラッシュの条件が整うのか。バウンスしたカードを再び配備することで、能力を使い直されるのかを見ます。

考え方を簡単に整理すると、『盤面処理の価値=放置した場合に発生する相手の価値−処理後に相手へ残る価値』となります。これは実際に数字を計算するための式ではありません。複数の処理方法を比較するときに、『倒せるから倒す』という判断から一度離れるための物差しです。

放置した場合の損失が大きく、処理後に相手へ残る価値が小さいなら、今すぐ処理する意味は大きい。反対に、すでに仕事を終えたユニットを破壊することで相手へ新しい価値を渡すなら、処理を急がない方がよい場合もあります。

03

νガンダム対面では、相手の資源の置き場所を見る

この考え方を持つきっかけになったのが、νガンダム対面でした。相手の盤面にユニットがいて、こちらはそのユニットを倒せる。普通なら、盤面を減らすために破壊したくなります。

しかし、ロンド・ベルがトラッシュに増えることで相手側の条件が整うのであれば、破壊がそのままこちらの利益になるとは限りません。盤面では相手のカードを1枚減らせても、相手が使いたい場所に新しい資源を送ったことになります。ここでは『何枚減らしたか』だけでなく、『どこへ送ったか』が重要です。

そこで、破壊以外の処理に意味が生まれます。バウンスで手札へ戻す。デッキ下へ移動させる。すぐには処理せず、トラッシュへ送らない形で時間を作る。相手ユニットを盤面から動かしながら、相手が利用したい場所には送らない。

νガンダム対面における盤面処理は、単純な破壊ではなく、相手の資源の置き場所をコントロールすることに近いと考えています。

04

MF対面では、ユニットの『残り仕事量』を見る

MF対面では、『大きいユニットから倒す』という考え方が崩れました。盤面に大型ユニットと中型ユニットが並んでいると、目立つ大型から処理したくなります。

ただし、その大型がすでに主要な能力を使い終えている一方で、中型ユニットがこのあと何度も能力を使うのであれば、処理する順番を入れ替えた方がよい場合があります。ここで見るのが、カードの現在の大きさではなく『残り仕事量』です。

残り仕事量とは、そのカードを盤面に残した場合に、あと何回こちらへ損失を与えるかという考え方です。現在のAPやHPが高くても、すでに主な仕事を終えているなら、処理の優先順位が下がることがあります。反対に、サイズが小さくても、能力を繰り返し使ったり、次の攻撃や必殺技へつながったりするなら、先に止める価値が高くなります。

盤面で一番大きなカードが、必ずしも一番危険なカードとは限りません。MF対面から見えてきたのは、現在の強さより、これから発生する価値を見るという判断でした。

見た目の大きさと処理優先順位は一致しない
盤面にいるカード見た目の脅威残り仕事量処理判断
能力を使い終えた大型大きい小さい場合がある後回しも検討する
能力を繰り返す中型大型より小さい大きい優先処理の候補
次の条件を作る小型小さいコンボ次第で大きい放置後の展開を見る
今すぐ仕事をしないカード小さい現時点では小さいあえて残す選択もある
05

ストライクフリーダム対面では、除去される側から考える

ストライクフリーダム対面では、視点が反対になりました。相手の何を除去するかではなく、相手に自分の何を除去させるかを考えます。

重要なユニットだけを盤面に残してしまえば、相手は迷わずそこへ除去を使えます。しかし、小型ユニットやPartsのような低Lvのカードを残せるなら、それらを相手の除去先として利用できる場合があります。

これは除去を完全に防ぐ考え方ではありません。相手の除去がどこへ向かうかを操作する考え方です。守りたいカードを完全に守れないなら、失ってもよいカードを先に用意する。相手が除去を使ったという事実だけでなく、その除去によって自分がどれだけの価値を失ったかを見ます。

除去される側にも、盤面の作り方によって選択肢が残されています。

06

緑紫ジオン/ネオ・ジオンでは『倒したあと』まで見る

緑紫ジオン/ネオ・ジオン対面では、破壊後に残る価値がさらに重要になります。相手ユニットを破壊したあとに後続が手札へ加わる。トークンが盤面に残る。トラッシュに置かれたカードが別の能力へつながる。相手が自分のユニットを破壊し、別の利益へ変換することもあります。

こうしたカードを相手にすると、こちらがカード1枚を使って相手ユニット1枚を破壊しても、実際には1対1交換になっていない場合があります。相手の盤面ではユニットが減っても、手札やトークン、トラッシュには別の価値が残っているからです。

一方で、破壊後の価値を警戒して小型ユニットを放置すると、そのユニットがサザビーなどの能力に使われる可能性があります。倒しても相手が得をする。残しても相手が得をする。このような盤面では、カードの大きさだけを見ても答えは出ません。

今破壊するのか。戦闘で処理するのか。バウンスするのか。一度放置するのか。複数の選択肢から、相手に残る価値が最も小さい処理方法を探す必要があります。

07

破壊・バウンス・戦闘処理・放置を比較する

盤面処理には、少なくとも四つの考え方があります。どの方法にも利点と危険があり、処理方法の名前だけで優劣を決めることはできません。

破壊できるから破壊する。バウンスなら破壊時効果を避けられるから戻す。それだけでは不十分です。バウンスしたカードの能力を再利用されるなら、破壊した方が損失を小さくできるかもしれません。破壊すると相手の条件が整うなら、一時的に盤面へ残した方がよいかもしれません。

処理方法そのものではなく、その処理によって次に何が起きるかを見る必要があります。

四つの盤面処理と主な注意点
処理方法主な利点注意したいこと
破壊する相手ユニットを盤面から減らせる破壊時効果やトラッシュ利用を助ける場合がある
バウンスする破壊を発生させず盤面からどかせる配備時やセット時の能力を再利用される可能性がある
レストして戦闘で処理する直接除去を使わず、自分のユニットで処理できる戦闘破壊でも破壊時効果は発生する
あえて残す相手へ新しい価値を渡さず、他の脅威へ対応できる後から能力やコンボの材料にされる可能性がある
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実戦では、処理前に四つを確認する

すべてのカードについて細かく計算し続けるのは難しいため、実戦では処理する前に四つを順番に確認します。

毎回完璧な正解を出す必要はありません。まずは攻撃や除去を使う前に、『このカードを処理したあと、相手は何を得る?』と一度考えるだけでも、盤面の見え方は変わります。

相手が何も得ないなら、処理する判断を進めやすい。手札やトークン、トラッシュの条件を得るなら、ほかの方法を考える。戻すことで能力を再利用されるなら、バウンスが本当に有効なのかを見直す。残した場合にさらに大きな価値へ変わるなら、相手に利益を与えるとしても、今処理する必要があるかもしれません。

  • このカードを残すと、あと何回仕事をするのか
  • 処理すると、相手は手札・トークン・トラッシュなどに何を得るのか
  • 破壊以外の場所へ送った場合、能力を再利用されないか
  • ほかに残り仕事量の大きいカードはいないか
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除去カードの評価も環境によって変わる

この考え方は、プレイングだけでなくカード評価にも関係します。『相手ユニットを破壊する』という効果は、単体で見れば強力です。

しかし、環境に破壊されることで利益を得るデッキや、トラッシュを利用するデッキ、破壊後にトークンを残すデッキが増えれば、破壊除去の価値は相対的に変わります。反対に、一見すると地味なバウンスやレストが、環境に合った処理になることもあります。

除去カードの強さは、対象に取れるユニットの大きさや必要コストだけでは決まりません。どこへ送るのか。処理によって何を発生させるのか。相手がそのあとに何を得るのか。相手が次に何をできるのか。そこまで含めて評価する必要があります。

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盤面処理とは、相手の次の価値を減らすこと

これまでの対面研究をまとめると、私は盤面処理を『相手のカードを盤面から消すことではなく、相手が次に得られる価値を減らすこと』だと考えています。

νガンダム対面では、相手が利用したいトラッシュへ価値を渡さない。MF対面では、サイズではなく残り仕事量の大きいカードを止める。ストライクフリーダム対面では、除去されてもよいカードを盤面に用意する。緑紫ジオン/ネオ・ジオン対面では、破壊したあとに残る価値まで考える。同じように相手ユニットが盤面へ残っていても、選ぶべき処理方法は対面や状況によって変わります。

カードの現在の強さを見る。次に、そのカードがあと何回仕事をするかを見る。さらに、処理したあとに何が残るかを見る。最後に、相手の次の行動まで考える。盤面で一番大きなユニットは最も目立ちますが、本当に見るべきなのは、そのカードだけではないのかもしれません。

次に相手ユニットを倒せる場面が来たら、一度だけ『これ、本当に倒していいのか?』と考えてみる。その問いを挟むところから、盤面処理は始まるのだと思います。

CONCLUSION

盤面処理の目的は、相手ユニットを消すことではなく、相手が次に得られる価値を減らすことです。処理前に『残すと何をするか』『処理後に何が残るか』を比べると、破壊以外の選択肢も見えてきます。

検証上の注意

カードプールや大会環境の変化により評価は更新されます。購入・デッキ選択は、ご自身で最新の公式情報も確認したうえで判断してください。

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